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幕末江戸に町兵-野口武彦著『江戸は燃えているか』

 幕末の人物の「機」という流動化した時代に焦点をあわせた書物。

先駆的な勤皇志士の清河八郎と暗殺者の佐々木只三郎(会津の出であること)。不実な友人の誘いがなかったら幕末歌壇の歌詠みとして生を全うしたろうー天誅組、伴林光平(ともばやしみつひら)京都御所を舞台としての孝明天皇、岩倉具視、山内容堂。幕末の志士、赤報隊の相楽総三(さがらそうぞう)。幕末江戸幕府の財政を司った小栗上野介。江戸無血開城の対応として江戸焦土作戦構想した勝海舟。

 いずれの人物像も時代背景と人間関係やその人の立つ基盤を踏まえて着想しているのが面白い。

 中でも、『江戸無血開城秘話』では慶応三年(1866)11月に町人有志から江戸の治安維持のため町奉行所に「市中御備へ町兵願」という町兵設置の提案があり、翌年慶応四年1月13日に幕府は町兵設置を正式に決め、町人に銃砲装備の方針を出した。しかもゲベール銃で1月17日から2月2日まで幸橋門内で延べ688人が射撃訓練をした。しかし、江戸城における和戦論議の中、2月中に「町兵」という名称が消え「町火消人足」とされた。

 何故か。町奉行支配組頭の関口隆吉の内部事情によれば、町兵設置は江戸の治安警備を口実として主戦論を唱えて会津藩のイニシャティブによる首都防衛隊の編成だったということを紹介している。

 この「町火消人足」の訓練は続けられ、勝海舟の「江戸焦土作戦構想」との接点を記述している。

 幕末江戸における「町兵」が設置されていたこと、初めて知った。

江戸は燃えているか Book 江戸は燃えているか

著者:野口 武彦
販売元:文藝春秋
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