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2016年2月

新たな地域完結型医療体制の構築―とちぎメディカルセンター

108  「小さいなあ…。もっと大きな病院が建つと思っていたのに」と、栃木駅南口スーパー「とりせん」への買い物の際、工事中の建物の見ながら思った。5月の開設に向けて駐車場や道路等インフラは整備されてきている。

  戦前の昭和13年にできた「下都賀病院」。栃木市富士見町にある下都賀総合病院は父や兄が世話になってきた病院でもある。最近ではこの私も人間ドックにおける早期発見で、「膀胱がん除去」「呼吸器疾患治療」「大腸ポリープ除去」と入院、治療を受けている病院でもある。

  下都賀病院は築60年を超える建物の老朽化と病院経営再建をきっかけに、新たに栃木市内にある3病院の統合によって、「とちぎメディカルセンターしもつが」という名称で生まれ変わることになった。ベットの数が307床。屋上にはヘリポートが供えられている。5月になったら4か月1回の膀こうガンの定期検査をこの建物で受けることになる。

003  栃木市内にある下都賀総合病院、とちの木総合病院、下都賀郡医師会病院の3病院が統合再編し、平成25年(2013)4月に発足した「とちぎメディカルセンター(略してTMC)」として今年(平成28年)4月から本格的に稼働を開始する。メディカルセンターへの理解を深めるため、2月27日(日)に栃木文化会館において公開シンポジウムが開かれた。会場はほぼ満杯の聴衆で埋まった。

 メディカルとは医療のこと。横文字ではなく、とちぎ医療総合センターしもつがと呼んでもよいのではないかと思う。病院という名称がないのはどうしてなのか?

 当日のチラシに「とちぎ(地区)の新しい医療体制を目指して」を副題として、舞台には「とちぎメディカルセンターの役割と挑戦」という横幕が張られてあった。

  来賓の鈴木俊美栃木市長からは、下都賀病院の病院経営と建物老朽化による建て替えを検討している時、厚労省における地域包括ケアシステム構築における臨時特別交付金制度を活用して事業をすすめたことの報告があった。財政的に市当局は「地域包括ケアシステム構築」を活用をした。そのことは地域医療システムの構築こそが今回の3病院の統合再編の命題であることが分かった。

053_2  厚生労働省医療安全推進室長の平子哲夫氏が基調講演「地域で支える医療・介護」があった。講演時間が50分と恐ろしく短い講演。講師はまず冒頭で、「2020年の東京オリンピックより、私どもは団塊の世代が75歳を迎える2025年を最大の医療体制整備の課題としている」ことの強調から講演が始まった。

  講演では高齢者時代を迎え、「平成37年(2025)に団塊の世代約800万人が75歳を迎えることは国民の医療や介護の需要が増大する。そのため高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援のもとで可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援の構築をできる体制にもっていく」という国としての施策方向性の紹介があった。そして、「今回のとちぎメディカルセンターのとりくみは全国的に注目を集めている。是非地域の人々と共に事業が推進されることを期待します」との結びがあった。

055  「地域包括ケアシステムの構築」のあらましが講演の中でスライド紹介された。

〇団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、重要な要介護状態になっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けるよう医療・介護・予防・住まい・生活支援が包括的に確保される体制(地域包括ケアシステム)の構築の実現

〇今後、認知症高齢者の増加が見込まれることから、認知症高齢者の地域での生活を支えるためにも、地域包括ケアシステムの構築が重要。

〇人口が横ばい75歳以上人口が急増する大都市部、75歳以上人口の増加は緩やかだが人口は減少する町村部等、高齢化の進展状況には大きな地域差

〇地域包括ケアシステムは、保険者である市町村や都道府県が地域の自主性や主体性に基づき、地域の特性に応じて作り上げていくことが必要。

050_3  とちぎメディカルセンターとして開始するにあたり、麻生利正理事長より「急性期から回復期、在宅・介護に至るまで、(病院完結型から)地域完結型の医療体制の構築を目指して栃木地区の3病院が統合し、とちぎメディカルセンターが発足しました。3病院の持っている機能を強化し、地域に医療・保健に貢献していきたい」との基調報告があった。

  このことから、病院名を使用しないのは地域完結型医療体制を推進していくためなのだと理解した。ただ当分はなじみがでないだろうなと思える。「病院へ行く」から「メディカルセンターへ行く」…言いづらい。

  機能の分担では、医療における急性期病院として「TMCしもつが」が行なう。回復期・慢性期については「TMCとちのき」。高度医療を必要とする患者は大学病院に。センターとして訪問看護、在宅医療の提供を行なう。郡医師会病院が総合保健医療支援センターとなり保健・福祉事業を行なう。そしてメディカルセンターとして介護及び高齢者福祉として居宅介護支援事業所によるケアプラン作成、介護老人保健施設による入所・通所サービスの提供、訪問リハビリ等を行なっていくとしている。

081  最後の公開シンポジュウムにおいては、栃木市保健部長、郡医師会、独協医科大学、自治医科大学、栃木地域女性会が参加して、それぞれの立場からメディカルセンターへの期待と要望が出された。とりわけ開業医の立場から郡医師会の意見が印象に残った。

 それは「地域医療として、開業医にはかかりつけ、看取り在宅治療などが求められている。しかし、一人の開業医、診療所では24時間、365日、対応できない。メディカルセンターにおいて在宅医療拠点としての連携の強化、在宅医療支援診療所などの場を提供して欲しい」との意見であった。

  従来の病院完結型から、とちぎメディカルセンターは地域完結型医療体制の確立を目指す。それは社会保障制度改革の一貫として位置づけられる重要な課題であると思う。

  地域では認知症を含め治療・介護は相当な辛苦が伴う。それを進めていくには地域包括支援センターとの連携が不可欠だと思えてくる。この公開シンポジュウムに地域包括支援センターが登壇していなかったのが残念なことだった。しかし、とちぎメディカルセンターは国の補助金を得てスタートする。そのことを踏まえて地域完結型医療体制の構築を整えていって欲しいと願う。

                                             《夢野銀次》

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